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【解説】特定整備制度説明会の詳細

どうもこんにちわ 今回は令和2年4月1日に施行となる特定整備制度の説明会が令和2年2月にありましたのでこちらでの内容を解説していきます。

 

 

内容の解説は導入の背景など読んでも頭が混乱しそうな内容もいくつかあるので、私が必要だと思う項目を抜粋して説明をします。

 

 

令和元年10月に発表となった中間のとりまとめと重複する項目と新たに明示された箇所がいくつかありますので中間のとりまとめの解説は下記の記事からどうぞ

 

 

 

特定整備制度導入のスケジュール

 

 

令和元年5月   道路運送車両法改正法成立

令和2年2月初旬 関係省令公示交付

令和2月~3月  特定整備制度説明会を開催

令和2年3月~  主任者向け講習を順次開催

令和2年4月1日 改正法及び関係省令告示施工

令和3年10月1日 改正自動車点検基準施工

令和6年3月31日 経過措置期間終了

 

 

 

 

 

特定整備の概要、定義

 

特定整備とは分解整備(ブレーキなど従来どおりのもの)または電子制御整備(今回新たに追加となる衝突被害軽減ブレーキなどの整備の総称)に該当するものをいう。

 

 

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特定整備と言われたら①分解整備、または②電子制御装置整備、または①+②のことを言うんだね

 

 

 

 

 

電子制御装置整備の対象となる作業

 

 

1、手放し運転などの自動運行装置の取り外しや作動に影響を及ぼすおそれがある整備、改造(レベル3以上)

 

現行車ではこのレベルの車はまだでていないのでこれは予備知識程度でよいと思います。

 

2、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)、自動命令型操舵機能(レーンキープ機能)に用いられる前方をセンシングするためのカメラ等の取り外し、機能調整(レベル3未満)

 

カメラ接続時のECU認識のコーティング作業、カメラを取り外さずに行う光軸調整など

 

3、 1、2にかかわるカメラ、レーダーが取り付けられている車体前部(バンパ、グリル)、窓ガラスの脱着

 

→脱着後カメラ等の機能調整が必要となるため

 

 

上記のものが自動車の安全な運行に直結するもの、何度の高い整備作業(整備要領書、スキャンツールが必要なもの)として電子制御装置整備の作業とするそうです。

 

 

カメラが取り付けられているバンパーやグリルの脱着をするだけでも今後は認証工場じゃないとできなくなるんだね

 

 

 

 

電子制御装置整備の対象となる自動車

 

 

・ 保安基準に定められている装置を備えている自動車(下記画像参照)

 

・対象自動車に係る情報はホームぺージで提供

 

現状の保安基準の状況

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今後でてくる新型車に関してもホームページで情報提供をしてくれると説明がありました

 

 

 

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経過措置について

 

令和2年3月31日までに事業場で電子制御装置整備に該当する作業を行ったことがある事業者は令和6年3月31日までの間は行ったことのある作業を引き続き行うことができる

 

カメラがついている車両のバンパーの脱着やガラス交換などの作業をやったことがあれば経過措置といて4年間新たに認証を取得しなくても作業を行うことができます。

 

 

 

※経過措置が適応されるかされないかを判断する方法は特になく事業所の自己判断になると質疑応答で回答がありました。

 

 

 

人員や申請の兼ね合いですぐに認証を取得できないことが予想されるので経過措置の間に焦らず認証を取得してほしいとの旨の説明がありました。

 

 

 

電子制御装置整備の認証基準

 

作業場の基準

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上記画像を参照にお願いいたします。指定整備工場は基本的に完成検査場の敷地面積で網羅できるようになっているようです。

 

 

作業機械等の基準

 

 作業計器(保有義務)

・水準器

 

点検計器及び点検装置(保有義務)

・整備用スキャンツール

 

整備に必要な情報の入手(義務)

・点検整備に係る情報(ターゲット等の機器を含む)を入手できる体制(整備作業要領書、FAINES等)

 

その他(自動運行装置に限る)

・自動運行装置を装備した自動車の自動運行装置の点検、整備に必要な技術情報を入手できること

 

 

 

必須なのは水準器スキャンツールです。

 

 

水準器に関しては詳しい基準がないので気泡タイプの安価なものでもokとのことです。

しかし、スマホの水準器機能のアプリはNGとのことです。

 

 

↓↓こんなこんな感じのタイプでokです♪

 

 

 

スキャンツールの性能、機能に関しては

少なくとも1車種以上の車両においてOBD検査の対象となる装置の点検及び整備が適切に実施できる性能及び機能を有していること。

 

 

情報としては作業要領書、FAINES等などを確認できるインターネット環境が1つはあればOKとのことです。

 

 

作業機械等については事業場で対象する車種のうち少なくとも1車種の転園整備が行えるものがあればokです。

 

工員について

 

工員数

・2人以上

 

自動車整備士の最低要件

 

「一級整備士」

or

「(2級整備士  or  車体整備士 or 電気装置整備士) + 講習

1名以上

 

 

自動車整備士の保有割合

 

1/4以上(整備士/全工員数)

 

 

整備主任者の資格要件

 

「1級整備士」 or 「(2級整備士or車体整備士or電気装置整備士)+講習

 

 

 

まとめると以前の認証の主任者と考え方は基本的には同じになり特定整備(電子)を新たに取得する場合は主任者の資格要件を満たす為に講習を受講する必要がでてきます(一級整備士は受けなくておk)。講習の詳細は次項で説明を入れます。

 

 

 

特定整備(両方)を行う場合選任しようとするすべての整備主任者が主任者の資格要件を満たす必要があります

 

 

※ただし令和2年4月1日から1年間に限り事業場内の少なくとも1名を除く整備主任者が講習の受講が困難で特定整備(電子)の整備主任者の要件を満たさない場合であっても、この者が令和3年3月31日までに講習を修了する内容を記した計画書を提出することで特定整備(電子)の認証を認め引き続き特定整備(分解)の整備主任者として選任できることとする。

なお、この取り扱いにより特定整備(電子)の認証を受けたものの、令和3年3月31日までに当該整備主任者が講習を修了しなかった場合は当該整備主任者の選任を解除しなければならい。

 

今回の説明会で中間発表にはなかった上記の救済措置的な内容が盛り込まれていました。

 

 

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特定整備(電子)の主任者になるための講習詳細

 

 

講習の内容としては学科実習の2項目を受講した後、試問(試験)に合格すると講習を修了したとみなし主任者として選任することが可能となります。

 

 

講習と言いつつ試験に合格しないと主任者になることができないのか!!

 

 

学科に関しては令和2年以降に行われる自動車検査員講習、主任者研修(法令)であって学科講習の内容が含まれているものを受ければ受講したものとみなされます。

 

今後随時開始されるそうです。

 

 

 実習に関しては整備振興会、ディーラーで実施するエーミング講習を受講する。

ただし、過去にエーミング講習を受講したことのある者で、その講習が実習と同等と認められた場合は受講した講習をもって実習を受講したとみなされる。

 

過去にエーミング講習に参加したことがある人は行ったところ(振興会など)に実習としてみなされるのかを確認してみよう。

 

 

試問(試験)に関しては問題数は10問正答率は80%で合格だそうです。

ちなみに2度試問で不合格になってしまうと学科と実習をもう一度受けなおさなくてはいけないそうです。

 

 試問についてまとめてみたのでこちらの記事もどうぞ

 

 

 

 

自動車点検基準の改正

 

 

自動車の定期点検基準について「OBDの診断状態」を追加し1年ごとに点検することを義務付けられます。

施工予定は特定整備制度の施工日から1年半後の令和3年10月1日

 

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指定整備の取り扱いについて

 

保安基準適合証の交付をするためには、点検基準に従って点検をし、必要な整備を行ったうえで保安基準適合性の確認を行わなければならない。

そのため上記の新基準が施工になると原則として特定整備(電子)の認証を受けていないと電子制御装置整備対象車両の保安基準適合証の交付ができなくなります。

 

経過措置の4年を満たしていない場合、点検基準改正となる令和3年10月1日以降対象車両の保安適合証が交付できなくなります。

経過措置を満たしていれば令和6年4月1日までは対象車両の交付を行うことができます。

 

 

 

経過措置を過ぎてしまうと対象車両の車検を行うことができなくなってしまうので指定工場は確実に特定認証(電子)を取得する体制を整えましょう

 

 

 

 

認証の審査方法

 

 

・支局職員による現地調査を省略

 

・申請者は変更内容が分かる写真、図面等の書類に添付する

 

・必要に応じては認証後に調査を行う

 

・新規認証は従来通り、現地調査を行う。

 

・申請書の様式を全国統一とする

 

 

従来だと変更する場合は現地調査をおこなっていましたが今回は写真、図面添付のみで現地調査を省略する流れになるということが決まりました。

 

様式も全国統一となるそうです。具体的な様式は私が説明会を聞いた時にはまだ出来上がっていないと説明をうけました。

 

 

新規で審査を行う場合は従来通りの現地調査を行います

 

 

 

 

まとめ

 私自身が特定整備制度説明会を受けて必要と感じたことをまとめてみました。

中間のとりまとめでは講習の内容経過措置の定義申請方法などが未確定な部分だったのですがかなり詳細がでてきたのでもやもやが晴れた人も多くいるかと思います。

もし、解釈の違いや誤っている点などがありましたらコメントなどでご指摘をしていただけると助かります。

まだ説明会を受けていない方や説明会を受けたけどよくわからなかった人など少しでも参考になっていただければ幸いです。

 

 

おわり

 

出典:国土交通省 特定整備制度説明会資料